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近況報告――迷いの中で、それでも私たちは前を向く――

2026年2月
一般社団法人オークビレッジ 代表理事   酒井  杏郎

酒井杏郎サイン

江田島での一連の出来事は、私たちにとって想像以上に重いものでした。

「なぜ、ここまで拒まれるのか」

「私たちが信じてきたものは、そんなにも危ういものなのか」

そんな問いが、何度も胸をよぎりました。私たち10万日大生は、日大闘争を正義の闘いだと確信し、人生を懸けて闘いました。60年が経った今も、その思いは変わっていません。
誇りです。胸を張って語れる、自分たちの人生そのものです。だからこそ、どこかでこう思っていたのだと思います。

「この歴史は、説明すればわかってもらえる」
「無条件で尊重されるものだ」と。

しかし、江田島で突きつけられた現実は違いました。60年という時間は、私たちが思っていた以上に世界を変えていました。私たちが“当たり前”だと思っていた価値は、もはや共有されていない。
その事実を、否応なく思い知らされました。悔しさがなかったと言えば、嘘になります。
戸惑いもありました。
そして、正直に言えば、心が折れそうになった瞬間もありました。

それでも――

それでも私たちは、立ち止まったままでいることはできませんでした。

全共闘ビレッジは、過去を誇示するための場所ではありません。ここで暮らしたいと思う仲間が、安心して生き、語り、支え合い、そして次の世代へ、何かを手渡していくための「生活の場」です。

その原点に立ち返ったとき、私たちは決断しました。

環境を変えよう。
場所を変えよう。

もう一度、未来に向けて選び直そう
と。

現在、私たちは東京近郊で5〜6件の新たな建設候補地を見つけています。
近く現地を訪れ、自分たちの目で確かめ、関係者と直接会い、絞り込みを進めていきます。

より多くの仲間が集まりやすい場所へ。
都内に近く、アクセスしやすい場所へ。
そして、全共闘ビレッジを長く支え続けるための、より強固な資金体制を築ける場所へ。

これは逃げではありません。敗北でもありません。むしろ、全共闘ビレッジを「生きた場」として未来につなぐための、苦しくも、前向きな選択だと、私たちは信じています。江田島での経験は、決して無駄ではありませんでした。地域と共に生きるとはどういうことなのか。理解されるとはどういうことなのか。そして、自分たちは何を背負い、何を手放し、何を未来に残すのか。

そのすべてを、私たちは深く考えさせられました。だからこそ、私たちは歩みを止めません。もう一度、地に足をつけて、仲間と共に進みます。

次世代につなぐ希望の樹として、オリーブの木を植える――

その思いは、迷いの中にあっても、決して揺らいでいません。

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